
 1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。97年に『最後の息子』で第84回文學界新人賞を受賞。2002年の『パレード』で第15回山本周五郎賞を受賞。そして同年の『パークライフ』で第127回芥川賞を受賞する。04年の『7月24日通り』は『7月24日通りのクリスマス』として映画化されている。主な小説作品として『破片』『熱帯魚』『ランドマーク』など。



|  | ◆もともとフランスの監督が撮るはずだった
原作をそのまま撮れば90分くらいの映画になったと思うんですが、最初から短編にしようという狙いがあったんでしょうか?
「いえ、もともとフランスの監督が撮る長編映画ということで話は進んでいたんです。そこでそのフランスの方たちに長崎とはどういう街か紹介しましょうという話になって。
その時ちょうど、僕がたまたま長崎に帰る予定になっていたので、『じゃ写真を撮ってきますよ』『それならビデオを回してきてくださいよ』という話が、『プロのカメラマンをつけんで、短編を撮ってみませんか』という流れになって。あれよあれよという間に僕が監督になったというわけなんです。
でも短編ですからね。撮ってる最中も、これが国内で上映されるなんて思ってませんでした。あわよくば海外の短編映画祭に出せればいいなという気持ちがあったくらいですね」
あれよあれよという感じだったわけなんですね。初監督ということで、映画のスタッフが脇を固めたと思うんですけど、彼らに支えてもらった点、逆に映画の現場の洗礼を受けた点というものはありましたか?
「とにかくスタッフの皆さんには支えられっぱなしですね。現場の言葉ひとつとっても教えてもらわないと分からないですから。そういう意味では、100%皆さんに支えてもらってます。ただ、映画の人たちは厳しいですからね。支えてはくれるけど、あまり優しく支えてくれるというわけではない(笑)。
文芸の方でぬるま湯につかっていたせいか。いや、実際にはそんなにぬるま湯というわけではないですけど(笑)、とにかく最初は戸惑いましたね。でも、映画業界には映画業界の支え方というものがあるんだな、ということに気付いたら、気分が楽になりましたね」
よく聞かれている質問だと思いますが、映像と文章における表現方法の違いはどういうものなのでしょうか?
「小説では自分で作り上げた登場人物をわりと自由にしてるんですよ。ただ映画の場合は、生身の人間を動かさなくてはいけない。
単純に文章で「〇〇が笑った」と書けば済むところも、生身の人間にやってもらうと、とても難しくて。
理想というのがいいという意味ではないですが、理想と現実という言葉をあえて使うとするならば、小説は自分の理想のイメージに近づけていくのが簡単なんですよ。
ただ、僕は素人監督なので、出てくれた生身の俳優さんたちを自分のイメージしたキャラクターに固定するというよりも、自分の作りだしたキャラクターをいかにふたりの俳優さんに近づけるというような作業だったですね」
俳優さんに合わせたキャラクターを新たに作るということですね。そこが原作と映画の内容が違った理由だったわけですね。
「そうですね。脚本も急きょ書き換えました。原作では、主人公の男の子がわりと素朴な感じなんですよ。でも主演の滝口さんという俳優さんは、素朴というよりかは、もうすこし王子様キャラという感じだったので、いるだけで人が集まってくる感じなんですよ。
実際に長崎の高校で撮影していると、そこに通っている女子高生たちがすっと寄ってきたりするんですよね。別に彼が何をやるわけでもないんですけど。そういうオーラというか、魅力はありましたね。
川口くんに関して言うと逆で、もうちょっと滝口くんよりは大人な感じでした。ちょっと目を離すと、その辺に座ってボーっとしていたりするような。
だからそういう彼らのキャラクターを矯正するのではなく、彼らに近づけちゃえと思って。僕は演出に比べれば脚本の方が得意ですから(笑)」
その直す作業というのはどれくらいかかったんですか?
「実際この映画の撮影は5日間あったんです。でも初日の撮影が終わった夜に違和感を感じたので、一晩かけて書き換えたんです。最初の脚本がほとんど晴れたプールで、という感じにしていたんですけど、天気予報を見てたら、だいたい5日中、4日間くらいは曇りか雨だったんで。そういうのもあって、脚本を変えました」
公開情報
□2007年3月17日より渋谷Q-AXにてモーニング&レイトショー
LINK
□作品詳細『Water 』
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